【ステージ5】ライブハウスの存在意義を考えろ
ライブハウスはボランティアではない。場所もスタッフも費用が掛かるから、その分稼がないといけない。
つまり、利益が取れなければ潰れるんだ。
これは一見当たり前のように聞こえるかもしれないが、この事実をよく考えるべきだ。
回りくどく言わずに本質に触れよう。
つまり「ライブハウスに利益をもたらす存在になれ」と言いたい。
しかも、人は相対的に物事を判断するから、そのローカルエリアにおいて、あなたのバンドが他のバンドよりもライブハウスの売上に貢献するにはどうしたら良いか?を真剣に考えてほしい。
これが達成できたのならば、次はそれを継続すること、継続ができたら拡大していくこと、拡大できたらそれを継続していくことだ。
実にシンプルな理論だが、最も効果的にバンドの規模を大きくできる方法だと思わないか?
何者でもない今のあなたに、メジャーデビューのお誘いがくることはまずあり得ない。いくらインターネットが個人の発信力を上げたと言っても、まだまだアナログ的な繋がりは根が深いんだ。
だから、どうしたら音楽で食えている人たちと同じ世界に行けるかを考えよう。ここの思考をサボってはいけない。
要するに、ローカルのライブハウスで信頼を得て、本当の意味での協力者になってもらえば、有名なバンドの前座やツアーバンドと繋げてくれる可能性があり得るんだ。
そうやって得た数少ないチャンスを活かして、繋がりを増やしていく。有力なバンド関係者と連絡を取り合うことができて、良好な関係が築けたら次に繋がる。
だから辿っていこう。
ライブハウスのオーナーからまた別のライブハウスのオーナーへ繋がりを深めて、あなたの目標とするバンドへと繋がる動線を見つけよう。
そのためにまず、ローカルのライブハウスに利益をもたらす存在になろう。売上に貢献しよう。そうすれば必ずそのライブハウスはあなたたちの存在を大切にする。
ローカルエリアと言えども、同じ地域にいくつかのライブハウスがある場合がほとんどだと思うので、選ぶ基準をざっくりとお伝えしよう。
まずは当然ながら、自分の目指す方向性とマッチしているかどうかだ。ライブハウスにもよるが、パンクやハードコアを得意としている場所と、ジャズを得意としている場所には根本的に客層が異なる。
今のは極端な例だが、ロックの中でも大衆的なのかそうでないのかなど、自らのバンドのビジョンと照らし合わせて決めていくことをおすすめする。
次にキャパだ。あなたが将来どれくらいの規模のバンドになりたいかによって、先を見据えて考えたほうがよい。
とにかく有名になって大きな箱でライブがやりたいのであれば、間違いなく地域で最もキャパの大きいライブハウスを選ぶべきだ。
ただし、大きな箱はバンドを選別できる権利を持っている場合が多いので、その箱に選ばれることを考える必要がある。
最後に、ライブハウススタッフの人間性だ。音楽が好きでライブハウスを経営したのか、ビジネスとして経営したのかにもよるが、根本的に音楽に詳しく、様々な人脈を持っている方が望ましい。
それよりもさらに重要な点は「囲わない人たちである」ことだ。
これはどういうことかと言うと、自分たちの利益だけを優先しないで、あなたやあなたのバンドを大切にしてくれるかどうか、ということだ。
ローカルエリアではどうしても人と人との結びつきは強くなる。それはそれで素晴らしいことではあるが、時に足かせとなり得る場合がある。
〇〇とは仲良くするな、××とは対バンしてはいけない、などの行動を制限するような謎のルールがある場合は要注意だ。
仮にあなたのバンドに良い話が舞い込み、そのライブハウスから離れるかもしれない、となったときに二つ返事で送り出してくれるかどうか。
利益になるバンドを失うことでの損失よりも、そのバンドの未来のために快く受け入れてくれる器の広いライブハウスに巡り合うことが大切だ。
お世話になるライブハウスを決めたら、あとはどのようにしてそのライブハウスの利益に貢献できるか考えよう。
参考までにお伝えすると、集客はたしかに大事な収益だが、ライブハウスの主な収入源はドリンク代だと聞く。
したがって、お酒をたくさん飲む人たちを連れてくることはライブハウスにとっては有益な場合が多い。
実際、私がバーテンダーをやっていたときには、バーで知り合った多くのお客様がライブハウスに足を運んでくれた。もちろんたくさん飲むし、奢ってもくれる。
特に私が個人でイベントを開催した時には、本当に彼ら彼女らに助けられた。集客面でも結果を残せたが、特に収益の面でもライブハウス側からとても感謝されたことを覚えている。
ライブハウスと酒呑みをうまく結び付けられると効果的だと個人的には思う。
他には、打ち上げ場所としてライブハウスを利用するのも良いかもしれない。とにかく日頃の支出が発生する場面において、ライブハウスの利益になることはないかを考えよう。
特に今のコロナ禍におけるライブハウスの影響は甚大だ。ライブハウスに対して、今の自分になにができるかを考えてみるのも良いかもしれない。
その姿勢は必ずライブハウスに利益をもたらし、あなたのバンドやあなたの評価につながっていくはずだ。
プロのアーティストの多くは、自分を育ててくれた場所として特定のライブハウスを今でも大事にしているケースが多い。
そのアーティストの原点でもあり、アーティストとつながりのあるそのライブハウスには、他のライブハウスが模倣できない付加価値がある。双方にとって良い結果を生み出している典型的な一つの例だと思う。
この章では、ライブハウスからはじまり、そこからどうステップアップしていくべきかの考え方をお伝えした。
ここで強く言いたいのは「ショートカットは存在しない」ということだ。
最近、SNSなどで直接ミュージシャンにメッセージを送る若者が後を絶たないようだが、忠告しておく。
そのメッセージがあなたの価値を下げることはあっても、あなたの価値を上げることはまずない。
成功した側の人間は、公に言っていないだけで相当な努力を重ねている。ただひたすら練習だけやって楽しそうに過ごしていると思ったら大間違いだ。
彼らが長く成功者であり続けられる理由を考えよう。支えてくれる協力者がたくさんいるからに他ならない。
その協力者を身近なところで構築できないのであれば、そもそもバンドで食っていく道を目指さないことを強くオススメする。
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